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人吉から復興まちづくり情報をお届けします


はじめまして
人吉市復興まちづくりデザイン会議です

人吉市を知っていますか? 来られたことはありますか?
人吉(ひとよし)市があるのは、熊本県の最南部。人口3万人弱のまちです。
九州山地に囲まれた人吉盆地に位置する自然豊かな土地を優雅に流れるのは、日本三大急流のひとつである球磨川。川下りやラフティングを楽しめる美しい川の姿は、このまちの暮らしや歴史と共にあります。

球磨川と人吉市市街地。

人吉の特産といえば焼酎、鮎、栗、味噌に醤油に、きじ馬、花手箱!
やわらかな泉質で美人の湯ともいわれる温泉、それぞれに個性がある日帰り温泉や宿での滞在も楽しまれてきました。

400年以上の歴史を持つ球磨焼酎。
国宝指定を受けた青井阿蘇神社と例大祭「おくんち祭」での球磨神楽奉納などの文化が根付く。
風情ある石畳や白壁の商家など城下町の面影が色濃く残る鍛冶屋町通りでは、
近年アニメの影絵の点灯が人気を集める。

そして、日本史において稀有な「相良700年」と称される長きにわたる統治が生んだ独自の文化遺産めぐりが知られる一方で、近年では同地方出身の作者によって美しい土地が描かれたアニメが人気を集め、聖地巡礼の盛り上がりも見られています。

まちがのみ込まれた突然の球磨川豪雨災害

そんな愛らしく美しい土地が水害に見舞われたのが、令和2年7月。

古くから人吉球磨の生活を支えてきた球磨川とその支流が豪雨によって氾濫し、川を渡る10の橋梁が流失。市街地や集落も濁流にのみ込まれ、大きな浸水被害をもたらしました。

人吉市で球磨川が氾濫した様子。浸水被害は流域の広範囲にわたった。猛烈な雨が降り続き、観測された雨量は従来の常識をはるかに上回る80mm以上(1時間雨量)となった。
資料提供:八代河川国道事務所

市の全世帯の約5分の1に相当する世帯が浸水。肥薩線が不通となるなど壊滅的な状況が広がりました。

資料提供:八代河川国道事務所

たくさんの人に知ってほしい
復興まちづくりの今と未来

あれから4年。
このnoteアカウントは、続いていく復興まちづくりの現状とこれからの計画を、人吉市に暮らすみなさんを中心に、少しでもたくさんの方にお届けしたいという思いから開設しました。

河川の災害復旧工事が進められながら、描かれていく将来イメージ、重ねられる議論、求められる具体的実施へのアイデアや担い手など、変化と更新が続いていく情報を復興まちづくりの現場からわかりやすくお届けすることに努めたいと思います。

「このまちの復興って、どんな未来に向かっているんだろう?」
「自分自身の生活やなりわいは、どう関係していくんだろう?」
「復興まちづくりのためにやりたいと思ったこと、届けたい意見、どうすれば?」

そんな思いとともに、互いに関わり合って一緒に考え、更新を重ねて復興の取り組みを育てていく。情報が難解、情報が少ないと思われることもあるかもしれない復興の話。ここでの記事が、知る、考える、話す、参加するための材料となればうれしく思います。

「人吉市復興まちづくりデザイン会議」って?

人吉市復興まちづくりデザイン会議は毎月開催

まず、このアカウントを運営する「人吉市復興まちづくりデザイン会議」ってなんだ? 誰だ? というところから。

「人吉市復興まちづくりデザイン会議」は「人吉市復興まちづくり計画」を実施するための具体的計画を提案するチームとして、令和6年8月に設置されました。

国や県、市の各課の職員と、道路や土地や交通整備等の復興に関わる各分野の専門家、そして地域への強い思いと行動する力を持つ民間が集まり、具体的な方針や案の準備を担う会議の場です。

各専門部会での議論や活用アイデアを、各復興事業のために落とし込み、可視化して案とするのが「人吉市復興まちづくりデザイン会議(以下、復興まちづくりデザイン会議)です。

提案は「復興まちづくりデザイン会議」から
「復興まちづくり推進会議」へ

復興まちづくり推進会議
市長が会長となり、町内会(地域)、消防団(防災)、商工会議所(商工)、温泉観光協会(観光)、文化財保護委員会(歴史文化)、青年会議所(青年層)、PTA(教育)、社会福祉協議会(福祉)、県と国土交通省の職員(行政機関)に有識者が加わり、デザイン会議からの提案をもとに、地域価値向上を目的とした公・民の取り組みに関する最終意思決定を行う会議体。

復興まちづくりデザイン会議
有識者が座長となり、行政職員と地域経営の専門家がプロジェクトマネージャーとなる。そこに地域事業やまちづくりにおいて強い思いと実行力を持つメンバー、ランドスケープ、交通、夜間景観照明、情報発信、公民連携や事業組成、金融における専門家、各分野の行政担当者が集まり、具体策を検討、推進会議へ提案する。

タスクフォース
各拠点エリアには地域団体・民間事業者・専門家・行政などによるタスクフォースを設置して、
具体的な将来像や事業化検討、合意形成などを行う。

「復興まちづくりデザイン会議」からの提案は「復興まちづくり推進会議」に送られます。

「復興まちづくり推進会議」は、地域の意見や専門家の意見を踏まえて意思決定を行う機関
として設置されています。
集まるのは、地域、消防、商工、観光、青年層、社会福祉に関わる市民。そこに有識者が加わり、デザイン会議からの提案をもとにさまざまな計画を集約しながら、地域価値向上のために具体的に何を進めていくかを議論。

デザイン会議とタスクフォースが連動して、自治体(公)と民間事業者や市民(民)が一体となって進むための継続的エリアマネジメントや実施における具体策づくり、クオリティ向上を図ります。

「復興まちづくり計画」と「まちなかグランドデザイン」

⚫︎人吉市復興まちづくり計画

さて次は、先に登場した「人吉市復興まちづくり計画」ってなんだっけ?というお話へ。

「人吉市復興まちづくり計画(以下、復興まちづくり計画)は、被害を受けた地域ごとに必要な対策や取り組みを、全体として取りまとめた計画(令和3年10月策定)。

地区別懇談会などの住民主体の場で検討を重ねてつくられた計画であり、将来像には「球磨川と共に創る みんなが安⼼して住み続けられるまち」が掲げられています。

⚫︎人吉市まちなかグランドデザイン

そして、特に被害が大きかった「まちなか」3地区である中心市街地地区と青井地区、麓・老神地区において、地区を横断したまちづくりを目的としてつくられたのが「人吉市まちなかグランドデザイン(以下、まちなかグランドデザイン)です。

・紺屋町や九日町等からなる中心地「中心市街地地区」での賑わいと活力の形成
・青井阿蘇神社が位置する「青井地区」での歴史文化と賑わいの形成
・人吉城跡を中心とした「麓・老神地区」での歴史と文化の拠点形成

この3地区の回遊促進を図ることで、まちなか全体の活性化を実現する構想(グランドデザイン)です。

歴史ある人吉の文化や球磨川盆地の豊かな自然を生かした地域づくり。安全・安心で持続可能な地域づくり。それをかなえるために、まず拠点ごとにプロジェクトを実施し、主要な回遊動線で結び、順次整備を進めて回遊性を向上・持続させていくことで周辺地域への効果の波及を狙います。

描くのは、人々が憩い、楽しく過ごす、住みたくなる、訪れたくなる「まちなか」の姿です。

思いとアイデアを重ねるまちづくりへ

今後は「まちなかグランドデザイン」に描かれているビジョンに、民間事業者、市民、専門家の思いやアイデアを重ねる「アクションプラン」も素案段階(たたき台)として公開予定。

復興まちづくりは、行政によるハード整備・復旧事業中心の計画作りを経て、ハード整備後の運営主体や方法、財源などを想定しながら民間投資と連動したハード整備と事業化を目指す段階に進んでいる。

これまで協議会が組織化されていたエリアに加えてその他エリアが加わり、市民や事業者のみなさんへのヒアリングなどを経て、専門家による具体的データや情報に基づいた仮説も用いて、方策の可視化に取り組んでいます。

このアクションプランについても次回以降の記事でご紹介し、市民のみなさんや事業者のみなさんに、復興まちづくりの具体的計画案やエリアごと・事業ごとの結成チームの取り組みを知っていただき、「考える」「交わる」「やってみる」「伝える」など、さまざまなチャレンジが集まる場への参加や協働を呼びかけたいと予定しています。


記事制作:人吉市復興まちづくりデザイン会議
この記事は、人吉市復興まちづくりデザイン会議に参加する情報発信専門家メンバーと行政内の復興と広報に携わる各担当者による連携チームで制作されています。